マンションや戸建て住宅など家を売りたい時に、まだローンが残っている場合もあります。
自宅の購入では住宅ローンを35年返済で組むことが多いですから、かなり昔に購入していたり、積極的に繰り上げ返済をしている場合を除くと、むしろローンが残っているのが普通です。
では、ローンが残っている時、家を売ることはできるのでしょうか?
売却するには抵当権の抹消が必要
この質問の回答は、「売却できることが多い」です。
「できる」ではなく「できることが多い」なのは、買主に物件を引渡す時には、自分がローンを借りた時に金融機関が物件に付けた抵当権というものを消さなければならない、という条件があるからです。
抵当権を消す(具体的には、抵当権の抹消の登記を行う)ためには、残っているローンを全部返済する必要があります。
買主からもらう売買代金でローンを返済することもできる
通常、この返済は事前に行う必要はなく、買主からもらう物件代金から支払うことができます。
例えば、以下のようなケースを考えてみます。
- 20年前に35年返済のローンで3,500万円を借りて家を購入
- 毎年、元金を100万円ずつ返済(元金均等返済)してきた
この場合、残っているローン(「残債」と言います)は、下の計算で1,500万円になります。
3,500万円 - 100万円 × 20年 = 1,500万円
もし家が2,000万円で売れるなら、その2,000万円から1,500万円を返済に充てれば残債がなくなり、抵当権を消すことができますから、売却が可能です。貯金などの自己資金を1,500万円確保する必要はありません。
もし1,000万円でしか売れないなら、代金全額を返済に充てても500万円足りません。
貯金などの自己資金で残った500万円を返済できれば、抵当権を消せるので売却が可能です。しかし、もし500万円が用意できなければ、抵当権を消すことはできません。
物件を買主に売却する売買契約を交わした後に、やっぱり抵当権が消せなかった、となると、違約つまり契約違反に該当します。契約違反の際に支払う違約金は、売買代金の20%と設定していることが多いので、売買契約を解除された上で、数百万円あるいは数千万円という金額を買主に支払わなければなりません。
実際には、仲介手数料や抵当権抹消の手続き費用、引越し代などもかかりますから、全部含めてきちんと返済できるか?という資金繰りを予めしっかり確認しておくことが重要です。
抵当権とは何か?
では、なぜ売却時に抵当権を消さなければいけないかというと、抵当権は人ではなく不動産に結びついているためです。
大雑把に説明すると、抵当権は「貸しているローンの返済が滞った時に、競売で売却して、その代金から返済してもらえる権利」です。
例えば、あなたが、抵当権付きのマンションを買うと、以下のようなことが起こる可能性があります。
- あなたは、売主にマンションの代金を払って、マンションの引渡しを受けました。
- その後、売主は、ローンを完済せずに、途中で返済をやめてしまいました。
- 金融機関は、ローンが返済されないので、資金回収のためにマンションの抵当権を実行しました。
- あなたの住んでいるマンションが、競売にかけられて売られてしまいました。
- あなたはマンションから出ていくことになりました。
このようなことが起こらないように、売買契約では、抵当権を消して買主に引き渡すことを売主の義務にするのが一般的です。
契約後に、もし計算違いや確認ミスで抵当権が消せないとなると、契約違反になってしまい、最悪の場合には、売買契約が解除された上で、買主に多額の違約金(売買代金の10~20%くらいが普通)を支払わなければならないことになります。
時々、このあたりの確認が不十分な仲介会社や担当者もいますから、ご自身でも気を付けておくと良いでしょう。
なお、金銭的に行き詰まってしまって、どうしてもローンが返済できない、という場合には、ローンが残ったままで抵当権を消して売却する任意売却という方法を取ることもあります。