自宅の売却を開始すると、興味を持っている買主候補に実際に家の中を見せ、購入を検討してもらう、ということを行います。これを内覧(ないらん)または内見(ないけん)と呼びます。案内または見学、と呼ぶ場合もありますが、どれも同じ意味です。

ここでは、この内覧がどのように行われるのかを詳しくご説明します。

内覧希望の入り方

内覧希望はいつ頃から、どれくらいの頻度で入るのか?

売却活動を始めると(つまり不動産会社と媒介契約を結ぶと)、早ければ最初の週末から内覧の希望が入ります。売却件数が少ない人気物件や、条件が良い物件などは、比較的早い段階で複数の内覧希望が入ります。

立地や価格帯、周辺の競合物件の状況等にもよりますが、売り出し価格などの設定が適切であれば、一般的には1か月以内に最初の内覧が入ります。

内覧の件数は、普通の反応状況で月に2~5件くらいです。戸建てよりもマンションの方が、また高額の物件よりも手ごろな価格帯の物件の方が内覧の希望は多い傾向があります。

成約までに何回の内覧が必要か

成約までに何回くらいの内覧が必要になるかは、物件の種別や価格帯、エリアや立地によって違います。

一般的には、下記の回数が目安になるでしょう。

  • マンション:5~10回
  • 戸建て:3~10回

内覧の回数が10回を超えても成約しない場合には、物件に何らかの問題がある可能性があります。例えば、建物が非常に傷んでいたり、汚れていたりするケースです。見学者は、チラシやネットで価格や広さなどの基本条件を見て内覧に来ていますが、実際に物件を見た結果、事前のイメージとかなりギャップが生じた、と考えられます。この場合には、問題点をしっかり把握して、対応することが近道になります。

内覧希望が入りやすい曜日

曜日としては、やはり土日および祝日に内覧が多く入ります。平日の内覧希望もありますが、会社員の方は土日や祝日でないと都合がつかないことが多いので、どうしても土日に偏る傾向があります。

前もって内覧の予約が入ることもあれば、当日になって急に内覧希望の連絡が来ることもあります。

売却活動中はこうした対応があるため、ご自身の予定より内覧を優先するスケジュール調整が必要になる場合もあります。良い買主を見つけるため、できるだけ都合を合わせ、多くの方に見てもらえるようにすると良いでしょう。

しかし、売却活動は長期に渡ることもありますから、土日の予定を全て空けておくのはなかなか難しいとは思います。その場合には、次のような対応をすることで、内覧希望の取りこぼしを防ぐことができます。

  • 土日のどちらかは予定を空けておき、内覧ができない週末を作らないようにする。
  • 都合の悪い日、対応できる日を予め決めて、事前に仲介担当者に伝えておく。

内覧の流れ

事前準備

乱雑な印象を与えないように、簡単な整理と清掃をしておきます。大掃除のような大掛かりな掃除はしなくてよいでしょう。

また、昼間であっても、全ての電気を点けておくのも、

当日の流れ

内覧では、不動産会社の担当者の立ち合いのもと、購入検討者が家を見学しに来ます。

売却を依頼している不動産会社の担当者が見学者を連れてくる場合と、別の不動産会社の担当者が見学者を連れてくる場合の2通りがあります。

いずれの場合も不動産会社の担当者が見学者を誘導して案内します。玄関を入って、まずはリビングから見て、その後各居室やキッチンや浴室等を移動しながら見ていく、という流れが一般的です。

家の購入にあたっては、収納スペースも重要なポイントですので、見学者がそれぞれの収納を開けて内部を確認することもあります。大抵の場合、見学者は「開けていいですか?」と確認してから収納スペースを開けますが、確認せずに開けられることもあります。いずれにしても、収納内部についても、事前に整理しておくことをお勧めします。

また、見学者が写真を撮ることもあります。こちらも、ほとんどの見学者は、事前に「写真を撮っていいですか?」と確認してから撮影をしますが、事前の確認無しに撮影をする見学者もいます。どうしても撮影をされたくない場所等がある場合は、最初に伝えるのが良いでしょう。

ベランダや庭にも出て、眺望や日当たり等を確認します。戸建ての場合には、外壁や屋根などの状態や、隣地境界の状況なども確認します。

一通り家の中を見終わった後は、担当者から補足の説明をしたり、見学者から質問がある場合もあります。所要時間は、物件の広さや見学者にもよりますが、おおむね15分から45分ほど、平均30分程度です。

見学している時間が長いほど、見学者が興味を持っている、ということができますが、見学時間が長くても、単純に内覧に慣れておらず、見るべきポイントが分かっていないだけ、ということもあります。一般的な住宅で、内覧時間が1時間を超えることは考えにくいので、もし長くなり過ぎているようであれば、売主側から退出を促しても構わないでしょう。

売主がすること

内覧の際に、売主様が行うべきことは多くありません。

お茶出しや物件についての説明をした方が良いように思うかもしれませんが、お茶出しは不要ですし、物件についての説明は不動産会社の担当者が行います。見学者にぜひ説明したいことがある場合には、事前に不動産会社の担当者に伝えておくと良いでしょう。

不動産会社の担当者が答えられないような質問が来た場合には、簡潔に回答をしましょう。

ペットを飼っている場合

ペットについての感覚は、見学者によって大きく違いますが、飼い主自身よりも良い印象を持つことは少ないと考えるべきです。

激しく吠えたり、見学者にじゃれついたりするタイプの場合には、内覧の間、ペットを連れて売主が外出する、という方法もよく行います。

また、事前に風通しを行って、匂いがこもらないようにしておくのがお勧めです。

内覧の結果の連絡

内覧した見学者の購入検討の結果については、通常、一週間以内くらいに売却の担当者に連絡があります。

購入したい、という場合には、見学した当日か翌日くらいに連絡がくることが多く、遅くとも翌週末くらいには連絡があるのが一般的です。その際、購入希望者は、購入申込書(買い付け証明とも言われます)という希望金額等の条件を記入した書面を売却担当者に提出します。

一週間を超えても連絡が無い、または検討中と言いながら進捗状況の連絡がない、というような場合には、その見学者が購入申し込みを行う可能性はあまり高くないと思って良いでしょう。

→「売却の知識」へ戻る

家を売却する際の内覧のポイント