売主様は、もともと単身でマンションに住んでいましたが、ご結婚を機に一戸建てを購入し、それまで住んでいたマンションを売却することにしました。
二重に住宅ローンがあり、金融機関からマンションの速やかな売却を求められましため、大手仲介会社に依頼して売却活動を始めましたが、半年間売却できず、その仲介会社から大幅な値下げを求められ、困ってご相談をいただきました。
売れない理由の調査
まず、物件の状態や販売方法、価格が適切なのかを調査しました。
売却物件は築浅で、外観も室内もきれいな状態であり、問題はありませんでした。
また、売出し価格は相場通りの設定で、価格の高さが原因とは考えられませんでした。
この条件であれば、購入申込はなくても、ある程度の人数の見学者が来ていて良いはずですが、売主様によれば、見学者もほとんど来ていないとのことでした。
そのため、担当していた仲介会社の営業方法に問題がある可能性が高いと考えました。
担当した仲介会社の問題
私どもへご連絡をいただいた時点で、大手仲介会社の、物件から少し離れた支店が担当して、既に約6か月間販売活動を行っていました。
大手さんでは、担当者は多くの物件を抱え、非常に多忙な場合があります。この物件は、距離的な面もあり、担当者の営業活動が不十分になっている可能性が考えられました。
また、会社・店舗・担当者によっては、売上確保のため、自分(自社・自店)だけで買主を見つけようとする傾向があり、今回のケースでは、他の仲介会社さんとの連携が機能していない可能性が高いと考えられました。
ローン返済についての不正確な説明
売主様は、もともと所有していたマンションと新しく購入した住替え先の一戸建ての両方に住宅ローンを利用しており、二重ローン(いわゆるダブルローン)になっていました。
住宅ローンは、自宅用のローンのため、特別な事情の有る場合を除き複数借りることはできず、二重ローンの場合には、片方を売ることが義務付けられます。
売主様は、一戸建ての購入の住宅ローンを借りるにあたって、銀行にマンションの売却を行う確認書を提出しており、その期限が近づいていました。
仲介会社の担当者は、確認書に記載した期日までに売れなければ、安い価格で不動産会社に買い取ってもらわなければならない、という説明をして、前回の価格改定から2週間しか経過していないにもかかわらず、売主様に再度の値下げを迫っていました。
実際には、銀行に提出している確認書は努力義務の約束をしたもので、大きな損をしてまで売却しなければいけない内容ではありませんでした。
単なる知識不足か、意図的かは分かりませんが、この仲介会社の担当者は、不正確な説明で、売主様が数百万円の損をする決断をさせてしまうところでした。
当社の戦略
以上から、売却が上手くいっていないのは、価格ではなく、販売の方法が原因と考えられたため、価格はそのままで、改めて新規物件として売り出すことにしました。
購入希望のお客様の内覧については、少し余裕をもった日程で内覧の開始日を決めて、最初の週末に内覧が多く集まるようにしました。
なお、部屋が西向きのため、午後3時くらいにならないと日光が室内に入りませんが、照明は全て引っ越し時に取り外されて移設済みのため、午前から昼過ぎにかけては室内がかなり暗くなっていました。
せっかく見学者を増やしても、印象が悪くては購入につながらないため、各部屋に照明の設置も行い、見学者が正しく物件を評価できるようにしました。
8組の見学者を集め2週間で成約
物件情報を公開したところ、他の仲介会社さんを含め、かなりの数の反響をいただくことができました。
内覧を開始した最初の週末に合計8組の購入希望のお客様が内覧し、そのうち2組のお客様から売出価格満額で購入申し込みをいただきました。
翌週末には売買契約を締結し、銀行との約束期日までに満額で売却を完了することができました。