練馬区に約150坪の土地をご相続予定の相続人(80代・女性)の方からのご依頼でした。

→お客様の声

土地には一戸建て住宅とアパートがあり、どちらも空き家になっていました。ご相談者は、関西在住であることやご自身の年齢面も考慮し、速やかな売却をご希望されていました。

ただ、他の法定相続人との間で遺産分割について調停を行っており、また、その最中にコロナウィルスの感染拡大が発生し、売却のタイミングが難しくなりました。

​最良の買い手を見つける

売却予定の土地は、都市計画上の制限から用途がほぼ住宅に限られましたが、広さが約500㎡(約150坪)あり、一般的な住宅地の規模を大きく超えていました。

宅地建物取引業法は、宅建業免許の無い個人が土地を分割して分譲することを原則として禁止していると理解されています。そこで、敷地全体を単独で購入できる以下の3者を買主候補として販売活動を進めました。

  1. 一戸建住宅の分譲事業者(建売業者)
  2. マンションの分譲事業者(マンションデベロッパー)
  3. アパート・賃貸マンションを建てたい個人・事業者

それぞれの買主候補に様々なヒアリングを行っていく中で、以下のことが分かりました。

  • 奥行きが長い敷地形状のため、戸建用地としては、面積のわりに分割可能な区画数が少ない。
  • 分譲マンションとしては建築可能な建物規模が小さい。
  • 土地の形状・面積から区の建築制限が厳しく、アパート/賃貸マンションでは、土地のポテンシャルを生かすのが難しい。

​このような状況を比較検討し、戸建住宅の分譲業者のうち、敷地の形状が悪くても対応できる3階建住宅の分譲事業者をターゲットとして、追加の販売活動を行いました。

その結果、当初の想定よりも1,200万円高い価格で購入したいという買主を見つけることができました。

停止条件付売買契約の利用

​コロナウィルス感染拡大に関連しては、2020年5月下旬に緊急事態宣言が解除され、6月末頃には不動産市況が予想以上にしっかりしていることが確認できていました。調停は、7月上旬に和解見込となったため、速やかに売却の手配を進めていました。

しかし、法定相続人が12人と多かったため、裁判所にて手続きの問題が生じ、調停の完了が8月以降にずれ込むこととなりました。ほぼ同時に、コロナウィルスの感染者が急増してきて、今後の不動産市況について不透明感が急速に増してきました。 

このような状況から、契約の先延ばしは売却価格の低下につながる可能性が高いと考えられたため、売主様が調停の対応を依頼している弁護士の先生と相談して、調停が無事に完了して売主様がこの物件を相続することを前提条件とした売買契約(停止条件付売買契約)を結ぶこととしました。

こうして、相続手続きの完了前にもかかわらずタイミングを逃さずに売買契約を締結できました。

​売却を成功させた二つのスキル

​この物件の売却が成功するには、売主様のご判断や弁護士先生の協力など、様々な要素がありましたが、自社の仲介会社としてのスキルとして、以下の2点を大きな要素として挙げることができます。

  1. 買主の探索力・交渉力
  2. 高度かつ柔軟な契約調整力

​買主の探索力・交渉力

不動産の買主候補は、プロの不動産事業者に限っても非常に数多くおり、その全てに当たっていくことは時間や費用、交渉の進め方等の点から現実的に不可能です。

当社は、不動産事業者への土地売却の経験が豊富であるため、物件を最も高く評価できる事業者のタイプを早期に特定することができました。さらに、競合する複数の事業者に購入を検討してもらうことで、受け身にならずに交渉を行うことができました。

高度かつ柔軟な契約調整力

​また、契約条件を工夫することによって、リスクを抑えながら、売主様に有利なタイミングで売買契約を締結することができました。

大手の不動産仲介会社では、担当者のスキルや店長の裁量権、社内調整の煩雑さ等から、この停止条件付売買契約に対応することは困難だと思います。

​売買契約において、あり得るリスクをしっかり想定して、契約書の条文で十分な対応を行うことは、売買仲介業者の重要な役割ですが、高いレベルで行える会社は業界でも多くありません。

当社は経験・知識ともに豊富で、弁護士の先生とのやり取りにも慣れていることから、停止条件付売買契約を提案し、関係者の了解もスムーズに得ることができました。